公園の池
物心ついた時から、水底を覗き込むクセがあった。
ある日公園で池をじっと見つめていると、
ザリガニがいることに気付いた。
捕まえたい。でも採り方が分からない。
もどかしい思いをしながら、
水底のザリガニをじっと見つめた。
あの奇妙なカタチに心惹かれていた。
水槽に入れたい、前も横も後ろも全て見てみたいと思った。
ザリガニの模型
そんな時、ザリガニの模型付き食玩を見つけた。
親に必死に頼み込んで買ってもらった。
嬉しくてすぐに水槽に沈めてみると、
本物を再現できたような気がした。
しかし間もなく「何か違うな」と感じるようになった。
きれい過ぎたのだ。
においがなく音もない。
そこに生命を感じられず、ただ無機質なだけだった。
初めて釣れたザリガニ
本物に触れたくて、
保育園の本でザリガニの釣り方を調べた。
本の通りにやってもうまくいかず、
自分で工夫を重ねるうちに殆ど独自の方法に。
この過程もまた楽しくて夢中で続けた。
そして遂に、ザリガニが釣れた。
本物の生きもの
模型とは全然違う、
まさに「ほんもの」だった。
持ち帰る時のカサカサという音や振動、
日々濁っていく水槽の水、生きもの独特のにおい。
これこそが「生きているもの」だと実感した。
今思うこと
あれから30年以上が経ち、
今では当時の自分くらいの子どもの親になった。
彼らも生きものが大好きで、
水底を覗き込んでは「あ!ザリガニ!」と騒いでいる。
彼らにも是非、自然相手に試行錯誤してみてほしい。
「ほんもの」を自分の目で見て触れて、
「いきているもの」を感じてほしい。
それが何に役立つかは分からない。
でもきっと、彼らの生きるセンスに繋がるはずだ。
私は何の根拠もなくそう信じている。
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